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00:仏像について
名称: 大日如来【胎蔵界】
制作年代: 南北朝時代(1333〜1392)
構造: 木造、寄木造り
像高: 49.7cm(現状)
住所: 茨城県つくば市
現在、地区管理になっている寺院に安置されている仏像です。廃寺後、年月が経過し、檀家の方々も一部、散逸していて管理になかなか手が回らない現状です。
珍しいことに、胎蔵界大日如来の他に、対になる金剛界大日如来も現存していて、非常に貴重な仏像といえます。
本体の壊れ方はひどい状態ですが、幸いなことに、主要な部材は残っています。
台座は完全に崩壊していて、段ボールに放り込まれていました。いずれ、処分される運命だったかもしれません。
数十年後には仏像本体も同じ運命を辿る可能性が高く、今回、修理が実現したのは幸運だったと思います。
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01:破損状況
左の写真は、お堂の中での安置状態についての写真です。ホコリまみれで、ほとんど物置のような状態でした。
人が住まなくなったり、あまり管理されなくなったお堂は一気に痛みがひどくなります。
それは、当然、中に安置されている仏像文化財にも当てはまることで、掃除されなくなると、ホコリがたまり、さらに、ホコリが水分を吸収することにより、汚れがたまったり、彩色や金箔がはがれ、カビが生えたり、虫が入り込んだりします。
水分は接着剤であるニカワの劣化を早め、像自体が形を保てなくなり、やがて、バラバラになっていきます。
未指定文化財とはいえ、700年近くも昔の日本の文化遺産がこのような状態で放置されるのは、残念な事だと思います。
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02:安置状況
左の写真は台座と光背の保存状況になります。
このように壊れた仏像の部材が、バラバラの状態で、
3箱分ほど別に放置されていました。
ここまで壊れた物は、捨てられたり、燃やされたりすることも多々あります。
(※燃やすことによって、供養するという考え方もあります。)
また、部材は一部か、あるいはその大部分が無くなっている事がほとんどで、修理にはかなりの労力と時間を必要とします。
本体の大日如来像も十数年ほどたつと、この写真のように、完全にバラバラになり、いずれ、同じように段ボールにまとめて、放り込まれるような状態になったと考えられます。
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03:部材の整理
段ボールに入っていた部材を丁寧に全てチェックしていきます。
その結果…3箱の段ボールの中には、大小併せて、3体分の光背と、4体分の台座の部材の断片があることが確認できました。
特に台座に関しては、今回修理する、胎蔵界の大日如来の台座の部材があることが分かりました。また、修理はしませんが、対になる金剛界の大日如来の台座の一部も発見されました。
光背に関しては、残念ながら大日如来の部材を見つけることは出来ませんでした。
見つかった胎蔵界の大日如来の台座の部材は、全部で、2/3程度でした。 残り、1/3は捨てられたり、無くなったりしてしまったわけです。
残念なことだと思います。 |

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04:解体
仏像を解体していきます。
ただ、今回の仏像に関しては、すでにニカワがはずれていて、ほとんど全壊状態でしたので、特に問題はありませんでした。
解体するといろいろなことが分かってくるのですが、今回のこの大日如来に関して言いますと、今までに少なくとも、2回は修理されていることが修理の痕跡から分かりました。
1回目は江戸時代。
2回目は戦後ぐらいになります。
そうやって、何度か修理されることによって、今のこの時代にまで、壊れながらも何とか伝わっている訳です。
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05:解体全景図
像本体の残っている全ての部材を解体した状態です。
この写真を見れば、寄せ木造りの構造がある程度分かると思います。
また、材木の専門家の方に見ていただいた結果、地元の檜ではなく、備州の檜ではないかとのことでした。
つまり、この大日如来像は地元の仏師が作った物ではなく、中央の正統的な仏師に注文制作して、茨城にまで持ってきた可能性があるようです。
残念ながら、当初あったと思われる、胎内の納入品も亡失しており、当時の銘文も残されていないため、誰が、いつ、なんのために作ったのかは分かりませんが、ある程度の力を持った人間が作ったことは想像できます。
昔安置されていた寺院の資料も現存していないとのことで、来歴をたどれないのが残念です。
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06:清掃
管理が行き届かないお堂の場合、数十年分にわたる、チリやホコリが積もっています。また、そうでなくとも、細かい彫刻の隙間にホコリがたまりやすいものです。
筆や刷毛で、丁寧にホコリを払っていきます。
ホコリはそのままにしていると、水分を吸って固まり、なかなか取れにくくなってしまいます。また、虫やカビの繁殖の原因にもなります。
仏像の胎内などは、ネズミの巣になっていることもあり、今回の像の胎内にも、ネズミが運び込んだ、布や新聞の切れ端などが見つかりました。
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