修理作業報告書
 
「個人蔵 阿弥陀如来坐像」
 
平成19年4月〜平成19年9月

 
NPO法人古仏修復工房
пEFax 0296-55-0388
 

 
1.名称:   木造 阿弥陀如来坐像
2.員数:   1躯
3.本体:   江戸時代 台座:鎌倉時代(推定)
4.構造:   木造、寄せ木造り、漆箔像
5.修理前像高/台座高/総高:  32.0cm/   −cm/   −cm
  修理後像高/台座高/総高:  32.0cm/22.3cm/58.5cm
6.所在地:  −
7.所有者:  −
8.施工者/施工場所:NPO古仏修復工房 代表者 飯泉太子宗
          〒300-4408 茨城県桜川市真壁町真壁351-1
 
9.修理作業報告
目次
@修理前写真/修理完成写真
A阿弥陀如来坐像 修理図解 
B修理前現状/解体作業
C清掃作業/解体写真(台座・光背)
D後補漆箔の除去/台座接合
E台座構造補強/台座・光背新補
F仕上げ 下地/金箔貼り
G玉眼洗浄前/玉顔洗浄後
H参考 蓮弁の墨書き1/蓮弁の墨書き2
I参考 内部写真/修理銘札

10.所感
 今回の阿弥陀如来は、非常に正統的な仏師の手によって制作された物である。
また、台座・光背に関しては、下地や様式から本体よりかなり遡る物であることが考えられる。
 表面を観察すると、本体・台座共に江戸時代にかなり大きな修理を受けている事が分かる。本体は全身塗り直し、台座に関しては、背面部を全て切り取って新材をつけてた上に全体に塗り直しをされていた。
 また、蓮弁の裏には全て取り付け場所を示した墨書きがしてある。墨書きの文字には3種類あり、台座は制作当初と他2回の修理の時に書き付けられた可能性が高い。
 以上のことから、本体に関しては一度、台座に関しては2度修理を施されている。もともと、別の物であったものがいつの時期にか、一具とされ、その際に大きな修理を施されたと思われる。
 尚、本体内部も調査したが、今回、銘文は見つからなかった。



修理作業報告
@修理前写真/修理完成写真
 
修理前写真             

[損傷状況]
本体…玉眼の汚れ。金箔の剥落。両手指の 欠失。
光背…部材の遊離。光背部材の一部と柄の 亡失。
台座…全壊。一部亡失。背面部改変。

修理完成写真

[作業方針]
当初部分の保存を最優先した上で、江戸時代の修理で改変された箇所の復元と台座構造部の強化を目指した。
新補箇所は古色仕上げとした。



修理作業報告
A阿弥陀如来坐像 修理図解 



修理作業報告
B修理前現状/解体作業
 
修理前現状             

[安置状況]
修理前の現状。本体の保存状態はかなり良いものの、台座・光背は全壊。箱に部材が保管されていた。

解体作業

[蓮肉部の解体]
ニカワにて接着されていたものの、ほとんど接着が切れていたため、解体はスムーズだった。
また、釘・カスガイの類も使用されていなかったため、もともと、構造的に脆弱であったと思われる。
尚、蓮弁の間から、瓔珞の一部と思われるガラス玉が1粒出てきた。



修理作業報告
C清掃作業/解体写真(台座・光背)
 
清掃作業             

[ホコリの除去作業]
像全体に付着しているホコリや汚れを刷毛や筆にてきれいに払った。

解体写真(台座・光背)

[台座の解体写真]
台座・光背を完全に解体した状態。



修理作業報告
D後補漆箔の除去/台座接合
 
後補漆箔の除去             

[後補漆箔の除去作業]
江戸時代に塗り直しされた際の後補漆箔を除去し、当初の漆箔の層を出した。

台座接合

[蓮肉部の接合]
足らない部分を補い、部材を接合した。 接着には漆と、合成樹脂を用いた。
写真から、以前の修理の際に、背面部はほとんど、のこぎりによって切り取られたことが分かる。



修理作業報告
E台座構造補強/台座・光背新補
 
台座構造補強             

[台座の補強]
そのままだと、構造的に脆弱なため、新たに補強のための中桟を入れた。

台座・光背新補

[台座・光背の新補箇所]
白い部分が新補した箇所。
台座…背面部は全面新補。補強のための中桟。
蓮弁…7枚新補。4枚補足。
光背…光背一部。柄。



修理作業報告
F仕上げ 下地/金箔貼り
 
下地             

[漆箔の下地]
漆箔を施すために漆による下地をした。

金箔貼り

[漆箔]
漆を塗った後に、金箔を貼った。
漆箔は基本的に中桟を除く、新補箇所部分に施した。
漆箔完了後、絵の具などを用いて、古色仕上げとした。



修理作業報告
G玉眼洗浄前/玉顔洗浄後
 
玉眼洗浄前             

[玉眼の洗浄]
ホコリと煤で眼が、完全に覆われていたため、煤を除去した。

玉顔洗浄後

[玉眼]
煤などを除去して水晶製の本来の眼が出てきたところ。同様に、白豪と肉髻珠も汚れを除去した。



修理作業報告
H参考 蓮弁の墨書き1/蓮弁の墨書き2
 
蓮弁の墨書き1             

[赤外線写真]
蓮弁の裏の墨書き。
蓮弁を葺くときの位置を表した物で、書き手の違う3種類の墨書きが見つかった。
それぞれ、造像当初、修理の際の時の物と思われる。

蓮弁の墨書き2

[赤外線写真]




修理作業報告
I参考 内部写真/修理銘札
 
内部写真             

[像本体の内部写真]
像本体の内部、内刳り。 寄せ木造りの構造が分かる。
尚、銘文は見つからなかった。

修理銘札

[修理銘札]
台座框の裏に打ち付け、次代に伝えることとする。



〒300-4408 茨城県桜川市真壁町真壁351-1
NPO古仏修復工房