修理作業報告書
 
「個人蔵 魚籃観音立像」
 
平成19年7月〜平成19年8月

 
NPO古仏修復工房
пEFax 0296-55-0388
 

 
1.名称:   魚籃観音立像
2.員数:   1躯
3.制作年代:不詳
4.構造:   素焼き製、黒色に着色
5.修理前像高:    −cm
  修理後像高:   20.8cm
6.所在地:  −
7.所有者:  −
8.施工者/施工場所:NPO古仏修復工房 代表者 飯泉太子宗
          〒300-4408 茨城県桜川市真壁町真壁351-1
 
9.修理作業報告
目次
@修理前写真/修理完成写真
A魚籃観音立像 修理図解
B破損箇所/接合風景
C古色風景/像底の修正
 
10.所感
 今回の魚籃観音像は70年程前に、所有者が霞ヶ浦にそそぐ河川にて、引き上げた5躯の仏像の内の1躯である。
伝説などでは、湖などで、仏像を引き上げる話がよく見受けられるが、実際にこのような形で引き上げられた仏像はそれほど多くないだろう。
 素焼き製で、いずれも同じ型から作られる。引き上げられたのは5躯だが、それ以上の数が同じ場所に沈んでいた可能性が高い。特殊な信仰か、或いは、輸送中に誤って沈めてしまった物か。
 霞ヶ浦周辺の博物館(土浦博物館・かすみがうら市郷土資料館)に問い合わせたところ、霞ヶ浦からこういった仏像・その他の遺物が引き上げられた例は聞いたことがないとの事で、信仰の為に沈めたと言うより、輸送中に誤って沈めてしまった可能性が高いかもしれない。
 像自体は、原型の質はかなり良いものの、素焼き製の素朴なもので霞ヶ浦の漁師が信仰していた事が想像できる。霞ヶ浦周辺でこういった素焼き製の土人形を作っていたところが幾つかあったらしい。魚籃観音は漁業関係者の信仰を集める仏であり、霞ヶ浦の河川から引き上げられるにふさわしい仏像といえる。



修理作業報告
@修理前写真/修理完成写真
 
修理前写真             

[損傷状況]
本体…頭部が大きく割れる。また、その修理の際に使用された接着剤が大きくはみ出し、周囲を汚す。
その他…自立はするものの不安定。

修理完成写真

[作業方針]
当初部分の保存を最優先した上で、像の復元を目指した。
また、修理箇所は古色仕上げとし、全体の調和をはかった。



修理作業報告
A魚籃観音立像 修理図解



修理作業報告
B破損箇所/接合風景
 
破損箇所             

[破損箇所]
接着剤の痕が残っているのが分かる。
これらを全て除去した上で、再接着を施した。

接合風景

[接合]
今回の接合には、エポキシ系の接着剤を使用した。
また、大きく開いた隙間に関してはサビ漆で埋めた。



修理作業報告
C古色風景/像底の修正
 
古色風景             

[古色風景]
写真は、サビ漆で細かい隙間を埋めているところ。
サビ漆で修正した後、着色し、古い箇所と馴染ませた。

像底の修正

[像底の修正]
そのままだと像が不安定なため、サビ漆を一部盛り上げて、像の安定をはかった。




〒300-4408 茨城県桜川市真壁町真壁351-1
NPO古仏修復工房