1.木造の仏像の構造について
木彫仏像はその構造で大きく3つに分類出来ます。
■一木造り(いちぼくづくり)
頭及び体幹部の根幹を1材で作るもの。
膝前材や腕、背板は別材で作っているものもあります。
基本的に内刳りを全く行わないものと、
背面や像底から、内部を刳り出し、背板で蓋をするものの2種類があります。
このタイプの像は平安時代までのものが多いようです。
■一木割り矧ぎ造り(いちぼくわりはぎづくり)
一木造りの像を造像過程で一旦、二つに割り離し、
内刳りを施した後、くっつける技法。(耳の後ろの線で割る事が多いですが、正面で割ったものもあります。)
■寄せ木造り(よせぎづくり)
頭体幹部の根幹をなす材を同等の2材以上で作るもの。
鎌倉時代以降普通に使われるこの造像技法は後に大変な変革をもたらしました。
早期の作例は平安時代の中頃、10世紀後半の作と言われる、京都、六波羅密寺の薬師如来像です。
木材を組み合わせて造像するこの技法で、容易に大きな像も作る事が出来るようになり、
平安末期には多くの丈六仏(立像4.8m、坐像2.4m)が作られました。
また、分業しての造仏も可能になりました。
鎌倉時代の彫刻に代表される、より動きのある彫刻をつくり出す事がこれにより容易になりました。
2.内刳り
■内刳り(うちぐり)
像の内部を彫り込む事により、重量の軽減、干割れの防止を行います。
仏像を制作した後、運搬する際、または、火事などで緊急に避難する際に仏像が重すぎると運び出せない事もあります。
内刳りを施す事により、大きな干割れを防ぐ事ができます。
基本的に一木割り矧ぎ造りの像に見ることができます。
■背刳り(せぐり)
一木造りの内刳りと思ってください。
平安前期の一木造りの像の内刳りは特別に背刳りといいます。
背刳りは像の背中から像の内部を彫り込み、空洞にした後に別材の板で蓋をし、彫刻を施します。
3.その他の構造
■割り首(わりくび)
内刳りの技法が発展する過程で生まれた技法です。
像の首の付け根に丸ノミを入れて、
一旦、首を割り離します。顔面の彫刻が容易になり、また、分業を可能にする等の利点があります。
■割り足(わりあし)
ももの裏側や、裳の裏側を彫ったり、彩色をするために一旦足を割り離し、
彫刻した後、矧ぎ寄せる技法。 鎌倉時代に一部見る事ができます。
■差し首(さしくび)
主に江戸時代になります。首から上を別材で造り、差し込む人形のような構造です。
4.目の表現
■彫眼(ちょうがん)
仏像の目を木から彫出し、彩色などで表現する方法です。
■玉眼(ぎょくがん)
鎌倉時代以降、爆発的に普及した、眼の表現方法です。
水晶製、頭部の内刳りから、はめ込みます。
それ以前の仏像は彫眼が多いので、時代区分の1つの目安になります。
※江戸時代に多くの、改造玉眼の像も作られました。
古例は奈良県長岳寺の(1151年)阿弥陀三尊像。
■改造玉眼(※おまけ)
主に、江戸時代に多くの彫眼の仏像が玉眼の像へと改造されました。
正規の玉眼が内側、つまり、内刳りから施されるのにたいし、改造玉眼は表面から彫り込み、水晶製の眼をはめ込むことが多いようです。
※他にも奈良時代の塑像(例 東大寺 執金剛神)には黒目に石を前から嵌め込む方法などがあります。
5.仏像の表面について
■漆箔(しっぱく)
漆を摺り、その上に漆で金箔を貼る技法。
時代と仕事の方法によって大きく3つに分類できます。
1.像の表面に麦漆や糊漆で麻布を貼り、漆錆下地、漆塗り、漆箔する方法。
麻布を張る分、手間がかかり、丁寧なやり方です。 下の細かい干割れを隠す効果があるようです。
また、耐久性が増すと言うように説明する人もいます。
2.像表面に直接、漆錆下地を施し、漆を塗り、漆箔する手法。
はぎ目など、一部にだけ麻布張りをしているものもあります。
3.膠で砥の粉・胡粉等を練った下地を塗り、漆を塗り、漆箔する手法。
(江戸時代に流行した方法でこれにより、簡単に大量の仕事が可能になりました。
ただし、漆による下地よりも、大幅に耐用年数が短く、特に水に弱い。剥離・剥落が起り、壊れているものが多い。江戸時代の像の1つの目安になります。)
■彩色(さいしき) 膠で溶いた顔料で加飾する技法。 素地または漆塗りの上に、膠で溶いた白い土(奈良時代は鉛白、平安時代は白土、鎌倉時代以降は貝殻胡粉が主流。)で下地を作り、その上に文様を描くというのが基本。
■金泥(きんでい)
漆を薄く摺り、金の粉を蒔く方法。 金箔が金属的な光沢なのに比べ、鈍い光沢を発する。
肉身部分は金泥蒔きに、衣の部分は漆箔というように分ける場合がある。 (※逆はない。)
■漆箔(しっぱく) 漆の上に、金箔を貼る方法。 金泥に比べて金属的な光沢を発する。
■截金(きりがね) 細く切った金線を膠で貼り、細かい文様を施す装飾法。
■土紋(どもん) 土を型抜きした文様を衣部分に貼り付ける技法。 鎌倉時代、鎌倉周辺にのみ一部見られる装飾方法。
■置き上げ胡分(おきあげごふん) 膠で溶いた胡粉や砥の粉で文様を高く盛り上げる技法。 南北朝時代頃、一部、衣の文様などに見られる。
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