特定非営利活動法人 古仏修復工房

古仏修復工房は文化財の修復を通して日本の文化を守り、後世に伝える活動をしています。


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1.2015年 集落管理 阿弥陀三尊像 

 今回、修理した像は大師堂と呼ばれるお堂に安置されています。大師堂といいますと、弘法大師がメインの像となります。しかし、現在は阿弥陀三尊像が本尊となっています。昔は真言宗の寺院であったようで、大師堂の隣に立つ集落公民館には当時の本尊であったであろう大日如来像、他、数体の像が大切に安置されています。想像ですが、阿弥陀三尊像は周辺の別の寺院の御像だったのかもしれません。元のお堂や寺院がなくなり、やがてこの大師堂に祀られたのでしょう。

像は江戸時代の製作と思われます。非常に丁寧な造りで、彫刻としても技量の高い人が造ったことが想像できます。毎年3月に近所の方々で祭礼があり、今なお大切に管理されています。







大師堂 木造 阿弥陀三尊像 修理作業報告書



阿弥陀三尊像

修理完了写真



修理前写真

勢至菩薩              阿弥陀如来             観音菩薩
   


【事業概要】
1.名称  :木造 阿弥陀三尊像
2.員数  :3躯
3.管理者 :集落管理
4. 所在地 :茨城県-


【法量】 ※修理完了後
阿弥陀如来立像
像本体/像高 61.1cm/最大幅 19.0cm/最大奥 20.4cm
髪際高 56.8cm/ホゾ高(右) 5.0cm/ホゾ高(左) 5.0cm
台座/台座高 22.6cm /最大幅 31.8cm/最大奥 26.5cm
光背/光背高 70.6cm/ 最大幅 25.3cm/ 最大奥 10.3cm/ホゾ高 1.8cm
全体/総高 93.2cm /最大幅 31.8cm /最大奥 26.5cm

観音菩薩立像
像本体/像高 46.5cm /最大幅18.2cm/ 最大奥 15.4cm/髪際高 39.4cm
台座/台座高 15.5cm /最大幅 21.5cm /最大奥 18.2cm
ホゾ高(右) 2.0cm /ホゾ高(左)2.0cm
光背/光背高 48.4cm /最大幅 17.2cm/ 最大奥 7.2cm/ホゾ高 3.8cm
全体/総高 63.9cm /最大幅 21.5cm /最大奥 18.7cm

勢至菩薩立像
像本体/像高 46.0cm/最大幅19.6cm /最大奥 14.4cm/髪際高 39.1cm
台座/台座高 15.6cm/最大幅 21.2cm/最大奥 18.1cm
ホゾ高(右) 1.6cm ホゾ高/(左)1.6cm
光背/光背高 48.7cm/最大幅 17.2cm/最大奥 6.7cm/ホゾ高 4.0cm
全体/総高 64.2cm/最大幅 21.2cm/最大奥 18.9cm


【品質構造】
阿弥陀如来立像
木造(針葉樹材)。寄木造り。玉眼。造像当初は肉身部が金泥、衣部分は弁柄漆仕上げか。頭頂より足底まで主要体幹部は前後二材から彫出する。頭部から胸部分は衣に沿って割矧ぎ、頭部背面材は襟に沿って割り首か。内刳りを施し、玉眼を嵌入する。腰から足底にかけて両側面に裳裾部分を接合する。右肩は一材。内側衣部分を割矧ぐ。右前腕、右手先はそれぞれ別材。左肩は一材。内側衣部分を割矧ぐ。袖口内部の衣、左手先はそれぞれ別材。両足先は別材、足底にホゾ穴を開け両足ホゾを差し込む。

観音菩薩立像
 木造(針葉樹材)。寄木造り。玉眼。造像当初は肉身部が金泥、衣部分は弁柄漆仕上げか。頭頂より足底まで主要体幹部は前後二材から彫出する。両肩、また前腕より先はそれぞれ別材。髻、両天衣、持物は別材。

勢至菩薩立像
 木造(針葉樹材)。寄木造り。玉眼。造像当初は肉身部が金泥、衣部分は弁柄漆仕上げか。頭頂より足底まで主要体幹部は前後二材から彫出する。地付き付近、右側面に小材を寄せる。
両肩は別材、また前腕より先は今回の修理では両前腕部、両手先で材を寄せた。髻、両天衣は別材。


【墨書】
・阿弥陀如来像 特になし
・観音菩薩像 未解体のため不詳
・勢至菩薩像 未解体のため不詳


【修理基本方針】
 現状維持修理を基本とし、破損部分は可能な範囲で復元を試みる。


【損傷状況】
阿弥陀如来立像
本体
ア)不適切な補修箇所がある。(胸、左足先)
イ)亡失、欠失箇所がある。(両耳朶、後襟、腹、右手先、右袖口、右衣内側、左袖口、
左手第二・三・五指、左裳裾材、足ホゾ、その他複数箇所)
ウ)主要部材の接合がゆるんでいる箇所がある。
エ)後補漆箔の剥落がはげしい。

光背
ア)当初のものは亡失。(後補の光背は腐朽がはげしく別保存)

台座
ア)形状のあわない後補部材がある。(敷茄子、反花の背面材、框)
イ)各主要部材の接合が外れている。(蓮肉)
ウ)亡失箇所がある。(天板、受け座、蕊)
エ)不適切な補修箇所がある。(光背ホゾ穴)

観音菩薩立像
本体
ア)亡失、欠失箇所がある。(右まぶた、両腕、持物、両天衣)
イ)形状のあわない後補部材がある。(髻、両足先)
ウ)接合が外れている箇所がある。(両肩)
エ)後補漆箔の剥落がはげしい。

光背
ア)金属製の輪光背が取り付けられていた。(後補)

台座
ア)亡失箇所がある。(框、心棒)
イ)欠失箇所がある。(蓮肉・光背ホゾ付近)
ウ)ホゾがゆるい。

勢至菩薩立像
本体
ア)亡失、欠失箇所がある。(両腕、左足先、両天衣)
イ)形状のあわない後補部材がある。(髻、右足先)
ウ)接合が外れている箇所がある。(左肩、地付き付近の右小材)
エ)後補漆箔の剥落がはげしい。

光背
ア)金属製の輪光背が取り付けられていた。(後補)

台座
ア)亡失箇所がある。(敷茄子、框、心棒)
イ)欠失箇所がある。(蓮肉・光背ホゾ付近)
ウ)ホゾがゆるい。


【修理仕様】
阿弥陀如来立像
本体
ア)胸のガムテープは除去した。また、接合のずれは一旦外し、再接合した。
左足先は彫り直し、再利用した。
イ)亡失、欠失箇所は新造した。(両耳朶、後襟、腹、右手先、右袖口、右衣内側、
左袖口、左手第二・三・五指、左裳裾材、足ホゾ、その他複数箇所)
ウ)一部、解体し再接合した。
エ)後補漆箔は除去した。

光背
ア)輪光背を新造した。

台座
ア)形状のあわない後補部材は撤去した。(敷茄子、反花の背面材、框)
イ)外れている部材は再接合した。(蓮肉)
ウ)亡失箇所は新造した。(天板、敷茄子、受け座、蕊、反花の背面材、上框、下框、
隅足)
エ)後補の光背が取り付けられていた光背ホゾ穴は埋め、当初の光背ホゾ穴を使用した。

観音菩薩立像
本体
ア)亡失、欠失箇所は新造した。(右まぶた、両腕、持物、両天衣)
イ)形状のあわない後補部材は撤去し、新たに造った。(髻、両足先)
ウ)接合が外れている箇所は再接合した。
エ)後補漆箔は除去した。

光背
ア)輪光背を新造した。

台座
ア)亡失箇所は新造した。(框、心棒)
イ)欠失箇所は形を補った。(蓮肉・光背ホゾ付近)
ウ)ホゾ穴を調整した。

勢至菩薩立像
本体
ア)亡失、欠失箇所は新造した。(両腕、左足先、両天衣)
イ)形状のあわない後補部材は撤去し、新たに造った。(髻、右足先)
ウ)接合が外れている箇所は再接合した。(左肩、地付き付近の右小材)
エ)後補漆箔は除去した。

光背
ア)輪光背を新造した。

台座
ア)亡失箇所は新造した。(敷茄子、框、心棒)
イ)欠失箇所は形を補った。(蓮肉・光背ホゾ付近)
ウ)ホゾ穴を調整した。

※以上、古色仕上げとした。









 

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