特定非営利活動法人 古仏修復工房

古仏修復工房は文化財の修復を通して日本の文化を守り、後世に伝える活動をしています。




サポートシステムの主旨


次の世代に繋げていくために


あなたは知っていますか。
日本中にうち捨てられ、壊れたまま放置され、やがて消え去っていく仏像文化財がたくさんある事を。

僕は1年以上かけて、世界を一周してきました。訪れた国は26カ国。
その中には、ヨーロッパのような文化を大切にする国もあれば、 インドや南米の一部の国のように、人々によっては文化以前に生きていくだけでも、苦しいような国も含まれています。

そんな世界の色々な国を見て強く感じたのは、どのような国であっても、 人が育っていく上で、歴史や文化というのは重要であるという事です。ヨーロッパだけに限らず、どんな貧しい国に行っても、自分の国の文化と歴史にだけは誇りを持っている。歴史と文化は強力なバックボーンとして、その人にその国民に単純な豊かさとは違った価値…「誇り」を与えているような気がします。

外から、海外から日本を見たとき、その圧倒的な経済的の成功にもかかわらず、 日本人はその「成功」に対して、自信が無いようです。なぜか?それは歴史と文化に誇りと自信が持てないからではないかと旅行中に感じました。

日本人は自分の国の歴史と文化がどれだけ素晴らしいかを再認識する必要があります。1年以上海外を旅して、一番強く感じたのは、日本は素晴らしい国だという事です。日本にいると、不思議な事に、日本の歴史と文化に誇りが持てなくなります。

幾つか理由はあるのでしょうが、1つには、地域の濃密な文化に接する機会が少ないという事です。この場合、地域の文化というのは、仏像に例えれば、京都や奈良の国宝の仏像に対しての近所の仏像のようなものです。近所の仏像やお祭り…あまり華々しいものではないかもしれませんが、これがとても重要な気がします。

教科書で教わった文化や歴史は頭で理解しても、体には染みつかないものです。ちょっとした外国の圧力に、大騒ぎするのは教科書で覚える文化や歴史の比重が、体験で学ぶ比重を大きく超えたためです。頭での知識は、批判に非常に弱いものです。
まず、身近にある地域の文化を強く再認識する。(田舎には理不尽と思われる慣習も多いですが…世界はもっと理不尽に覆われています)これが人格形成の上での基本だと思います。


さて、僕は文化財の修復技術者なので、旅は文化財の状況を見て回るという旅でもありました。
世界中の文化財の状況。国によって違いはあれど、世界遺産のようなものは手厚く守られる一方で、地元に密着したローカルなものは消えていっているような状況だと思います。
実は日本も同様で、京都や奈良の立派な寺院の仏像が丁寧に管理される一方で、廃寺になった後、集落で管理されているような仏像も少なくありません。こういったお堂であったりした場合、管理が行き届かないことが多々あり、中には掃除もされないためにぼろぼろになったり、盗難に遭う物も少なくありません。

では、そうした田舎の小さなお堂にある像が自治体指定の文化財より劣ったモノかというと、決してそういうわけではなく、製作年代、作風から優れたものも少なくありません。管理が行き届かなくなるというのは、地域のコミュニテイが崩壊していくのとは無関係ではありません。信仰心が薄くなる、若い人が流出する、祭事ができなくなる、お祀りしている像も管理されなくなる。こういった様子になっているお堂が日本全国には無数にあります。

文化財に指定されていないものは、将来、大部分が消えるのではと感じたことがあります。これは、予言とか予測というレベルではなく、必然として将来起こる事です。ものが次の世代に手渡しされるというのは、何らかの「縁」があって初めてなされますが、現在その縁そのものが消えかかっているのですから。

当たり前のような顔をして、仏像はそこに存在していますが、それは、そこに存在するのが すでに奇跡なのです。火事や盗難、何らかの不注意、自然災害、虫、腐れ…なにかあっても、そこに 存在しなかった可能性があったのです。僕らは、それらを次の世代に繋げていって欲しいと思います。
そんな中で、古仏修復工房でできることは修理のお手伝いですが、集落管理の像に関しては、修理をしたいと思っても、なかなか集落内で修理費用を負担しきれないところが数多くあります。そういった像に関して多くの方から援助をいただければ、次世代に繋がっていく像も増えるかと思っています。日本の、特に地方の文化財を守るために援助をいただければ幸いです。

 


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